それぞれの決意

鈴木 実佳子 / Mikako Suzuki

一歩一歩、その先へ

本店 法人販売部

1993年 入社/社会学部 観光学科 卒

努力が報われるとき

標高3190m。日本3位の高さを誇る奥穂高岳の頂上。視界には北アルプスの稜線が連なり、かなたには雲海から顔を出した富士山が見える。ここに立った者しか経験できない360度のパノラマを、全身で感じていた。

学生時代に所属していた「自然愛好会」で登頂したときの景色を、今も鮮明に思い出すことができる。自然愛好会では、春秋はキャンプ、夏は登山、冬はスキーと、1年をアクティブに過ごした。といっても、以前からアウトドアに慣れ親しんでいたわけではない。中学は吹奏楽部で、高校は剣道部。英語に興味があったこともあり、大学は観光学科に進学。今思えば一貫性がないが、その時々の興味と関心に身を任せていた。

奥穂高岳には10人の部員と臨んだ。中腹でテントを張って1泊し、ふたたび山頂を目指す。隊列を組み、お互いを励まし合いながら進む。先輩たちの背中に勇気づけられ、やっとのことで山頂にたどり着く。吹き抜ける冷たい風を頬で感じながら、努力が報われた達成感に浸った。

男女分け隔てなく働ける会社

3人姉妹の末っ子。2人の姉は負けん気の強い活発なタイプだった。反対に私は、どちらかというとおとなしい性格。でもそんな姉たちに憧れて、必死になって背伸びして追いつこうとしていた。だからなのか、幼い頃から「男女」という区別があることに違和感を覚えていた。学生時代、就職を意識するようになった頃もその違和感はつきまとった。当時は男性は外勤、女性は内勤が当たり前の時代。しかし、私は男女関係なく外でも積極的に働いてみたかった。就職活動では、観光に関連する仕事で男女分け隔てなく働ける会社を探した。いくつかの企業をOG訪問して、入社を決めたのがJALグループの旅行会社。現在のジャルセールスとなる会社だった。

入社は1993年。初めて就いた仕事は、法人セールス。企業に勤める社員の方々が出張や帰省をされる際、航空券や宿といったすべての手配を行う部署だった。出張先は国内外を問わず、海外出張の場合はビザの手配なども加わる。当時はまだ電子チケットがなく、チケット一式を持参して説明するのが大半だった。おかげで顔なじみのお客さまが徐々に増え、やがて社員旅行の企画や手配なども任されるように。積み上げた信頼が実績につながることに、やりがいを感じていた。

その後日本航空宣伝部への出向を経て、2000年にはクリエイティブツアーズ・ロンドン(現 Jalpak International[Europe])への出向を希望し、ロンドンへ。お客さま企業の現地駐在員やそのご家族の移動に伴う手配を担当した。2003年にジャルセールスに戻ってからは、経営企画部(現企画総務部経営企画グループ)に所属。帰国後に結婚し、2006年、2011年には1年間の育児休暇も取得した。復職後も子育てをしながら仕事を続け、経営企画部には2018年まで在籍することになる。そこで「一大プロジェクト」に携わった。ジャルセールスへの部門別採算制度の導入である。

率先垂範する

企業が全体の収益を把握するには、どの部門でどれくらいの収益があったかを知る必要がある。「部門」の単位が小さいほど責任の所在が明らかになり、改善点がはっきりする。これを目的としたのが「部門別採算制度の導入」である。これまでの全社的な収益の計算方法を一新して、部門単位で収益を把握することとなった。しかし、ただ単純に集計の範囲を狭めただけでは目的は達せられない。例えば、弊社の営業担当がご案内したお客さまがWebからチケットを購入した場合、売り上げは社外セールス部門ではなくWeb販売部のものになる。企業として経営の効率化を図るためにも、社員のモチベーション向上のためにも、実際に汗をかいた人が評価される仕組みが求められた。

上司のアシスタントとして、社内のあらゆる部署から意見を集めた。しかし、本格稼働を前にして上司が異動することに。すぐに後任の上司が着任したが、これまでの流れを把握しているのは私だけ。何をすればいいのか分からず、一瞬、目の前が真っ暗になった。同時に、今まで上司に頼りきりだったことに気づかされた。初めて仕事が「自分ごと」になった瞬間だった。自らが率先して動かなければ、物事は前に進まない。主体的に取り組もうと決心した。

新しいルールに対して、部署ごとに意見が食い違った。そこで、まずは大枠を提示した。こちらが目指す方向を示し、意見を集約して、ブラッシュアップ。そしてふたたび提示する。採算が実態に沿うよう何度も調整を繰り返しながら制度を完成させていった。昔から自ら先頭に立つことに苦手意識を持っていたが、この出来事を通じてJALフィロソフィにある「率先垂範する」という言葉の重みを実感した。自らの手で自らの道を切り拓かなければ、高みには届かないのだと。

少しずつ、着実に

現在は法人販売部の統括マネジャーとして、部員をまとめる立場にいる。管理職という立場は、ともすれば自分の考えを部下に押しつけそうになるが、大切なのは自ら率先して動いてみせること。かつて、登山をともにした先輩たちの背中に勇気づけられたように、今度は私が部下たちに勇気を与えられるような仕事をしていきたい。誰かの指示で動くのは楽だ。しかし、自分で考えて行動すれば、困難もあるが仕事がもっと面白くなる。

これまで、さまざまな部門でキャリアを積んできた。山々が連なって尾根になるように、仕事の一つひとつが今の私を形づくっている。これからも、仕事と家庭の両立を楽しみながら、また新たな高みを目指していきたい。チームを管理する立場として、皆で励まし合いながら進むことになるだろう。一歩一歩、ゆっくりでもいい。着実に歩んでいく。その先にある、到達した者にしか味わえない景色を目指して。

  • この内容は2020年2月時点のものです。

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